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2012/12/21

読書録 ~AI~

AIと言ってもアクションアイテムのことじゃありません。人工知能の方。
  • 『マッチ箱の脳』 森川幸人 著

 本書を手にしたキッカケは、とあるレポートで『思考だけして行動しないシステムより、行動だけして思考しないシステムの方がよほど知的だ。』という言葉の引用元として本書がリンクされていたこと。どうやら近年の人工知能って、脳みたいな中央集権的な組織を模するより、反射神経の塊のような、単純な組織の塊で複雑なことをするっていうのがトレンドらしい。

 例えばちょっと前に話題になったルンバを思い出す。基になっているのは非常に単純なアルゴリズムなんだけど、どんな部屋でも掃除するっていう高度なことができるロボットだ。他にも下のビデオのような、全くコンピュータを使わずに、より生物的な動きができるロボットがそれに当たる。いくらチェスに勝てたって、部屋の掃除ができなければ意味が無いのだ。


 上記コメントの思考と行動の関係って、人間にも当てはまるんじゃないか。3・11後に日本人は、行動する人としない人に、よりはっきり別れたような気がするけれど、時代によって行動に対する評価が変わることもあるんじゃないか。同じような事はガラケーにも言えるのかな。

 話が少しそれた。本書は人工知能に使われる様々なアルゴリズムを、マッチ棒を使って(ムズカシイ数式を使わずに)考えましょうという入門書。ニューラルネットワーク、エキスパートシステム、遺伝的アルゴリズムなど、どこかで聞いたことはあるけどすごくすごそうな名前のアルゴリズムがいかに単純な発想かってのを教えてくれる。名前なんてつけたもん勝ちだよね。

 著者はゲームプログラマー。出てくる応用例はほとんどゲームの話で、例えばRPGの敵キャラがだんだん強くなっていく仕掛けにGAが使われているとか、ゲーム内のいろんなクセをカオスを使って表現している、とか、より自然な木を描くためにLシステムが使われている、など、目からウロコの豆知識が満載。

 人工知能の話を研究所の同期に振ったらたくさん語ってくれたんだけど、覚えてるのは次の話。ちょっと前まであるアルゴリズムは限界だと言われていたんだけど、最近、計算に使うコンピュータをあえてちょっとずつ休ませることで、計算効率が劇的に向上し、そのアルゴリズムが見直されたというのだ。実際人間の頭も少し休んでいるし、より人間らしくしたほうが良かったって話。でもこの発想って、人間観察の結果生まれたってよりは勘からなんだって。

 科学と技術って、理想的には両者が互いの限界を引っ張ってゆく。惑星の運動を観察してケプラーの法則が生まれ、お陰でロケットが宇宙に行くようになり、もう一つの産物として生まれたコンピュータの発展によりヒトゲノムの解析が進み、その結果医療技術が発展し…っていう。でも、案外理想的ではなくって、人間の勘が大いに思考をジャンプさせてるんですね。

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