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2013/03/19

シアター360で宇宙疑似体験

昔作った資料を見つけたのでアップしてみる。

愛・地球博や、上野の科学博物館にあるシアター360ってあるでしょ?
あれに、宇宙ステーションで撮った映像をリアルタイムで投影して、宇宙飛行気分を味わいたいって思って作ってみた。別に科学博物館じゃなくても、レストランや東京駅構内など、ふらっと立ち寄れる商業施設に置いて、ふらっと眺めて立ち去れるくらいが良い。

近年、宇宙の渚SpaceBallなどが密かな話題になっていて、宇宙疑似体験欲は一般的にあるんじゃないかと思ってる。

資料のデザインも内容もガタガタですが、修正する気も無いのでそのままアップ。


↓似たような記事↓
飛行船型の携帯電話基地局

2013/03/13

読書録 『失敗学』/宇宙開発の技術伝承について


  • 『失敗学実践講義』 畑村洋太郎

久々のビジネス関係書。今回はかなりの良書。
大きな組織で働く人、品質保証に携わる人、何らかの形でモノづくりに携わる人にオススメ。


~以下、本文より抜粋~

 …多くの場合、品質保証部というのは、会社の中でそれほど強い権限を与えられていないようです。それどころか、(中略)周りから嫌われて隅に追いやられる傾向さえあります。…(中略)ところが、品質保証部に普通とは違う権限を与えている会社もありました。(中略)こうしたメーカーの品質保証部の担当者と話していると、彼らが話す内容は意外に泥臭く、自分たちが犯したミスも包み隠さずなんでも話してくれます。一方、品質保証部の権限が弱い会社の担当者は、やたらとキレイ事を並べたがる傾向があります。
 結局、安全保障部が権限を持っている会社の担当者は、泥臭かろうと何だろうと自分たちは現実を見てきちんと対処しているという自信があるから、なんでも隠さずに話すことができるのでしょう。…

 …「バカと専門家は細かいことを言いたがる」という大法則があることです。(中略)細かい専門分野やトイレの数の変更といった話になると、三時間でも四時間でも延々と「どうでもいい話」が続きます。それでいてカリキュラムの変更といった全体の話は、誰も文句を言わないので五分で議論が終わります。(中略)そして、後日、カリキュラムの変更が具体化していって自分が影響を受けることがわかった段階で、「なぜ前もって言ってくれなかった」と文句をいう人がよくいました。…

 …付加設計の問題点は、山の中の温泉宿を例に説明するとわかりやすいでしょう。山の中の温泉宿は繁盛すると、新館を立てることでより多くのお客さんを受け入れようとします。(中略)ところが、そのようなことを続けていると、そのうちに初めて訪れた客にはどの廊下がどこにつながっているかわかりにくい迷路のような非常に使いにくい建物ができてしまいます。仮にこの宿で火災が起きたとすると、わかりにくい建物の中で迷って逃げ遅れる宿泊客が必ず出てきます。こうしたトラブルを避けるためには、繁盛したから増築するという発想ではなく、一から新しい建物を建て直すくらいのことをやらなければなりません。…

~抜粋終わり~

『あーあるある』と思いましたか?

 本書は失敗学を追い求める著者がまとめた、モノづくりの失敗の傾向をまとめた本です。著者の分析は、失敗したモノだけにとどまらず、失敗を生み出した企業の経営状態、受注先との関係、ローカルな天候など、失敗を生み出す背後にある環境に及びます。

 原因調査ができるということは、世の中のすべての失敗は、想定さえしていれば防げたものです。それでもなお失敗をしてしまうのはなぜかというと、レベルの低い方から順に

①当たり前のこと、やるべきことをしていなかった(決められた検証項目を飛ばしちゃった)
②しても良い失敗(試験)が足りなかった(想定範囲内の検証項目不足)
③他人の失敗から学ばなかった(検証項目の拡張不足)
④そもそも未知の事象だった

となります。④まで行くと論文が書けます。

 他人の失敗を防ぐには、上記①~③を、レベルの低い方から順にしっかり他人にやらせることになります。それも相手にあるべき姿で頭を使わせる方法で。品質保証って、個別の事象は難しいけど、上記ルールはいつもシンプルに持っていたいものです。

~*~*~

 最後に、本書の中でもH-IIA6号機の打ち上げ失敗について触れていましたが、宇宙開発の難しさについて、この一年で感じたことを書いてみます。あくまで私の私見です。

 本書の中では、ロケットの打ち上げ失敗は、失敗をゼロにすることが限りなく難しい宇宙開発の失敗に対し、そのバッシングを1人で受けた当時のJAXA理事長をかばう論調で触れられています。

 なぜ失敗を防ぐことが難しいかというと、宇宙開発品は限りあるコストの中で限界の設計をするという思想から、FM(Flight Model:最終的に宇宙に打ち上げるモデル)を十分な時間試験に晒すことができないからです。

 ではどうするかというと、十分な時間試験に晒すことができない分、条件を厳しくして試験を行います。このあたり、どのくらい厳しくすれば十分か、という判断は、論理的に導かれるものではなく、「過去これでやって動いた」という実績ベースで判断されることが多いのではないでしょうか。宇宙開発の特徴の一つは、軌道上であれこれ試すことができないため、過去の実績を重視する風潮があることです。

 もう一つの特徴は、開発スパンの長さからくる技術伝承の大切さです。

人工衛星の話で行くと、これまでの衛星の開発期間は約5年ほど。大量生産品と違い、「次は前回の実績を元に作ってみよう!」というと、最低5年前の資料を引っ張り出してくることになります。5~10年前というと、PCの性能は数十分の一、iPhoneもiPadもなかった時代。通常の資料の保管方法も異なれば携わった人も残っているかわからない。匠の技を結集させた宇宙開発の難しさはこれらによる技術伝承にあると思います。

 クセモノは、本書の中でも触れられている付加設計です。ある部分を基準に、ミッション固有の部分をあとから付けていく、という思想の設計。これは、基準となる部分の技術伝承について、設計結果だけではなくて設計思想をちゃんと残さないと、無批判に設計結果だけを引き継いでしまうことに繋がります。

 以上より、宇宙開発においては、実績ベースで物事を考えること、そして常に思考しながら技術を伝承すること、の2つが大きな特徴だと考えられます。ここで難しいのが、実績を無批判に受け入れることを、技術伝承と勘違いする輩がいることです。この背景には、日本の『理屈ではそうなんだけど、でもやっぱり危なそうだよねぇ』みたいな、論理と感情が中途半端に混ざった意思決定が影響しているのかもしれません。先に述べた、実績ベースの判断が多くなること、も、ヨーロッパ的理論主義(そんなもんがあるとすれば)からすると、「なるべく精度の高い理屈をこねよう」という思想になるんではないでしょうか。

 ここらで参考になるかもしれないのは、伊勢神宮の式年遷宮や、気仙大工が伝承館を建てて技術を残す仕組みです。この思想は、『技術を忘れないうちに、定期的にゼロから作り直すことで、永代に技術を残そう』というものです。

 モノづくりでは、同じ物を作っていても、材料や人など、必ず環境は変化し、それはモノづくりに何がしかの影響を与えます。極論、どんなモノづくりでも、思考し続けないと必ず失敗するのです。



…あかん、長々と書いて、結局すげーネガティブな一言で終わっちまった。救われねー。
うんだから、働くなら全員思考してる組織で働くと楽しいよって話でした。

【参考:著者のリンク】
畑村創造工学研究所
失敗知識データベース

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