+1

2014/05/31

ハンナ・アーレント/タイム


最近見た2本の映画についてご紹介。

 IN TIME、タイムは、トゥルーマン・ショーのアンドリュー・ニコルが脚本・監督の映画。この映画の世界では、全ての貨幣価値はその人の25歳以降の余命で与えられる。日雇いの賃金は24時間、コーヒー1杯3分間、カジノで賭けられるのは100年間。。。富める者は多くの余命を持ち、持たざるものは死んでゆく。そんな世界の物語。 



主人公は、常に残り10時間しか持ち得ないような、スラム街育ちの男。彼がひょんなことから100年間の余命をもらったことから物語は始まる。ヒロインは、100万年という時間を手にする大富豪の娘。彼女は死からなるべく遠ざかるべく、泳いだことも車を運転したこともない。そんなことより演じてるアマンダ・サイフリッド可愛い。時間監視員のキリアン・マーフィも味がある。アイルランド出身なんだって。味もあるわけだ(安直なアイルランドびいき)。

この映画は資本主義へのちょっと変わった風刺映画だ。資本がどのように集約され、資本主義をコントロールする人の糧になるか、というのをかなり直接的に描いている。 

この映画を見た翌日、最近フリーターになっていた後輩に会った。彼女は大学卒業前に青年海外協力隊に応募するも落ち、就職活動もそこそこに、人づてで入社したブラック企業をつい最近辞め、今に至る。そんな彼女は文字通りの自転車操業で、来週以降の予定は立たないと言っていた。 彼女はリアルに、来週までしか余命のない生活をしているように見えた。彼女が適度な長さの時間と幸福感を手にするのはいつかしら。

貨幣を使った資本主義と、自分の人生の時間を使った資本主義の違いは?と考えると、実はあんまりないんじゃないかしら。


もう1本はアナと…ではなく、ハンナ・アーレント。ドキュメンタリー要素80%、エンターテイメント要素20%な映画。こちらは現在飯田橋のギンレイホールで上映中。ギンレイホール、初めて行ったけど、「マイシアターを持ちませんか?」って誘い文句にひどく誘われた。年パス作っちゃおうかな。



世界って、いつでもどこでも変わらないんだなって思った。論理的な分析や真実よりも、わかりやすい善悪論なストーリーを求めるメディアとその読者たち。主題から個人的な体験への論点のすり替え。バッシングする際には相手の1箇所の欠点を徹底的に潰し、全体を理解しようとしないとこ。この映画を見た人は、映画館でハンナ・アーレントの生き方に共感して、帰ってみたら盲目的に反原発運動をしていたり、小保方叩きをするニュースを見て楽しんだりしてないよね。

ハンナ・アーレントと夫のハインリヒの、直接的な愛情表現は見てて気持ちよかった。初老の夫婦だからこそ、キスとかスキンシップッて大事だと思うのよね。あとその人の人生が蓄積されたような本棚とか、議論好きが集まるサロンの場とか、こーゆー老い方をしたいと思いました。そんな28の初夏。

ナチスのユダヤ人虐殺が、一部の狂信的な指導者の元、思考停止した組織が淡々と効率的に行ったことの結果であるということ。この命題の裏が正しいんだとすれば、一部思考するトップの元、非人間的な行いを効率的にこなす組織に所属している人は、思考停止しているということ。身につまされる話じゃありませんか。


全体主義の中の人間性に関して、オススメな名画がこちら。良ければぜひ。

copyright

当ホームページ掲載の記事、写真、イラスト等の無断掲載を禁止します。
(c)2008- Yuta. ALL Rights Reserved.