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2014/09/28

1980年代に建てられた私設天文観測所の老巧化と若手への引き継ぎ

1986年、ハレー彗星が観測好機になり、バブルが弾ける少し前、そして僕が生まれたこの年周辺、全国で私設天文観測所が建設ラッシュになった。彼らの姿は新聞や天文雑誌を賑わすことになる。


それから30年。機材・建屋・人それぞれ老巧化し、30年前は苗木だった木も成長して低空の視界を遮った今、現在も健全に運営されている私設天文観測所は何割あるんでしょう。



僕みたいな若造からすると、仲間内で観測所を作るなんて、バブリーな世代は派手なことすんなー!と感嘆します。作る理由は、ロマン。効果な機材を共有するにあたっては、いろいろな障害もあっただろうに、それを乗り越えて、それなりに高額な投資をして得た私設天文観測所。やっぱバブルを生きてきたベテランはやることは違うぜ!と。


この施設天文観測所の運営を、若手に譲渡する良い手立てはないものかと考えています。


若手のメリットは、初期投資を現実的な範囲で抑えて高級な中古機材を使えるようになるところ。豊富な知識を持つベテランから知識を伝授してもらえるところ。今どき無い、隠れ家持ちになれるところ。当然ランニングコストも、ここを維持する胆力も、望遠鏡の取り扱い知識も必要になります。

ベテラン側のメリットは、やはり自分の生きた証が引き継がれることにあると思います。特に人が老巧化した結果、以前より観測所に足を運ぶ人も減り、平均年齢が60歳を超えた結果、そろそろ観測所をたたむ話も出ると聞きます。これはもったいない。あとは、若手と趣味を通じたコネクションができること。これは若手・ベテランどちらもメリット。天体観測が好きな人に悪い人はいないもの。

若手に移管するリスクは、若手の腹の座り方。自分で立てて30年間維持するには、並大抵の気概だけでは足りないはず。好きな気持ち、マメさ、協調性なんかが相まって成し得たんでしょう。そんな気概が中古で譲られた若手に持てるかどうか。


…と、そんなことを考えながら、会社の大先輩の建てた施設観測所に、今日2回目の訪問を果たしてきました。未だ感動冷めやらぬ。あの観測所が持っているのは、ペンションのオーナー、そして観測所オーナーの人柄と、30年間通じて平穏な周りの環境の、奇跡みたいなめぐり合わせによるものなんだと思います。

写真はその良い機材をお借りして、どちらも人生で初めて撮った、アンドロメダ大星雲と馬頭星雲。どちらもこの先成長しかないですね!




以下余談。
  • 運用に困ってるのは、私設だけでなく公営のも同じなんですね。1980年代から1990年代初頭は、国内で天文台建設が最も盛んだった時期だったそう。国立天文台のレポートが興味深い。ソースは『公開天文台調査とその結果について』 小川智子, 1998年の国立天文台レポートです。以下抜粋。
天文台全体の設置分布を見ると西日本に多く東日本に少ない、西高東低の傾向がある。 また、大口径望遠鏡についても、近畿地方から中国地方東部にかけての西日本地域に 多く分布しており、設置年が比較的新しいものが多い。関東を中心とした東日本には、 口径15cmから20cmクラスの小望遠鏡が比較的多く分布している。 これらの殆どは、独立した天文台としての設置ではなく、科学館や教育センターに 付随するもので、1970年代に設置された比較的古いものが多い。
天文台の顔となる主望遠鏡の使用目的は、啓蒙普及であり、 教材作成も含めると8割を占める。しかし、 近年では大口径と研究機関の望遠鏡にはない運用面での柔軟性を活かし、 研究利用の割合も増加しつつあり、利用目的として研究観測をあげる施設は14%ある。
地域の同好会や学校との協力体制をつくり運営を行う施設や、 僅かに同種施設や研究機関等の専門機関の協力を得る施設もあるが、 殆どが職員個人の工夫による運営にとどまっている
ごく僅かであるが、そのうちの何件かは自らの施設で ボランティアの養成を行っている。ただし、その協力体制の実態は、9割近くが観望会、 特に繁忙期の事業の人手不足を補うためのお手伝い的内容である。 事業の企画・立案等、協力者側自らが積極的に施設の運営に参画する場合は ごく僅かしかない(6% )。 
今回の調査の回答から、以上述べたような日本の公開天文台を取り巻く現状、 様々な問題点や課題が浮かび上がってくる。 我々は、僅かずつでもこれらの課題を克服し、 よりよい天文の普及事業を進めていくために、 公開天文台同士の横のつながりを広げると同時に、 他施設の抱える問題についても理解し、改善への道を共に歩まなければならない。 

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